年下の彼氏
−ガチャン
「ただいま。」
高校からすぐ近くの住宅街。
右隣りが一つ上の男の子の家。
毎日のように剣道の竹刀を振る音が夜中に響き渡る。
市内でも剣道で有名なんだって。
左隣りが同じクラスの中原くんの家。
中原くんはかなりのやんちゃだから
両親の怒鳴り声があたしんちの壁をすりぬけてやってくる。
そんな二つの家に囲まれてあたしの家はある。
あたしの家族は、お母さんとお父さんとお兄ちゃんとあたし、そして妹の5人家族。
お母さんは隣町の病院に勤めている看護師さん。いつも夜遅く帰ってくる。
お父さんはよく分からないけど、ある雑誌の旅行ライターさんをやっているらしい。だから家に居ることはめったにない。時々お土産を持って帰ってくる。
お兄ちゃんは成人になり、家を出ていった。今は少し離れた所で一人暮らし。電車で1時間ぐらいだからよく遊びに行く。
妹はいたって普通。
だれに似たのか分からないけど勉強が出来ない。
お兄ちゃんはすごく出来るのになぜかあたしと妹は勉強が出来ない。
「おかえりなさい、遅くなる時は連絡入れてっていつも言ってるでしょ!」
「あ−。ごめん、気がついたら10時だったんだ。」
少しだけ言葉を交わすとあたしは部屋に入った。