年下の彼氏

｢悪ガキさんも来るといいねえっ?｣

振り向いた桃子の最初に発した言葉がこれ。

｢あ−！そのためにあたしを呼んだんでしょ−??あきれた−。｣

｢ごめ−んっ。多分来るかなって思って。あたしだって悪ガキがどんな子なのか見てみたいもんっ。｣



受付に立ったあたしたちの前を何百人もの中学生の大群が押し寄せてくる。

中学生から学校、氏名を聞いて用紙にチェックを入れていく。

やっとチェックの波が終わると

二人ともふうっとため息を吐き、椅子にどかっと腰をおろした。



｢いなかったね−?悪ガキさん。つまんな−いっ。｣

桃子がぶつぶつ言っているのであたしはしょうがなく話した。



｢あの子、笹木孝之くんっていうの。市長さんの息子さんで多分勉強はあたしたちの高校より遥かに上だと思うの。だからきっと来ないと思うよ。｣

｢そ…そうなの…?｣

桃子があたしの後ろのほうを見ているので失礼なやつだなあっと思っていると

あの低い声が耳に届く。