年下の彼氏
「あの…。見学に来たんすけど…。」
いつもめんどくさそうにしている彼と違って今日はぴしっとしていた。
いつかの瞳がまたあたしを入れることを許す。
見慣れない学生服。クリーム色のブレザーに深い青色のネクタイ。ネクタイと同じ色のズボン。
いつもの着崩している格好とはまた違う。
中学生とは思えない大人な雰囲気。
孝之くんもはっとあたしに気付いたようであたしに向かってぺこっと頭を下げて言った。
「早川…さん?」
あたしの顔を覗き込むようにひざを曲げて姿勢を下げた。
「うん!こんにちは、孝之くん。あたしも菜月でいいから。」
「じゃあ菜月…さん。昨日はど−も。」
昨日・・・。あたしはこくっと頷いて聞きたかったことを聞こうとした
「あ…のさ、」
《見学を希望する中学生のみなさんは前の方に集まって下さい。》
先生のアナウンスが響いてあたしの声が負けた。
孝之くんは「ん?」って聞き返したが何でもないって言っておいた。
遠くから声が聞こえる。