年下の彼氏
「あいつら、あ−見えても結構いいやつなんすよ?許してやって下さいね。」

あ…。また、変な敬語。




あたしたち2人以外誰もいなくなった体育館には外に吹く風の音がかすかにしか聞こえなかった。

先生に頼まれといてよかった。

めんどくさがりなあたしが本気でそう思ったんだ。

これは本気に違いない。

今までとは違う、すぐに変わる気なんてしない。

ずっとこの人を好きでいたい。

これが・・・、恋・・・?






「聞いてます?先輩っ?」

あっ!やばい。

孝之くんの話聞いてなかった。




それにしても…。


「なにその敬語?笑」

耐え切れなくなってお腹を抱えて笑った。

あははっと笑うあたしの顔は多分、世にも恐ろしい顔をしていたはず。

そんな顔を見ても孝之くんはからかいもしない。

よく考えてみたら孝之くんはあたしが嫌がることは言わない。

からかう時は山ほどあるけど、それは心に刺さらないやさしい言葉なんだ。




孝之くんはあたしを見ながらいつもの優しい笑顔で言った。


「よかった。笑ってくれて。」

えっ…と言いそうになったがここはこらえた。

「なぁーんか俺にはさっき泣いてるように見えてさ。ちょっとつっかかってたりして。」

ずるい…。

反則だよ。


こんな…の。


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