年下の彼氏
こんなにドキドキする気持ち、あたしだけがしてるなんてずるい。
あたしの心をこんなに揺さぶるなんて孝之くんはずるいよ。
「こー見えても、あたし滅多に泣かないよ?めっちゃ強い女だからさ!」
腕まくりしてみせるとすぐ赤くなって腕まくりを止めた。
こんな時になって腕の毛の処理したっけ?なんて考えてしまう。
いつもなら気にもしないくせに。
こういう時だけ女の子ぶるんだ、あたし。
「それは心強いな。」
にっと歯ぐきを見せて笑う。
そんな笑顔にホッとしたあたしが居た。
「あっ。」
声を出したのはあたし。
さっき聞きそびれたことを思い出した。
「ん?」
バイトの帰りにいつも見ていた。
茶色とピンクのレンガのレトロなマンション。
あたしが住めるのは、せいぜいそのマンションの向かいの白いアパート。
あたしは憧れてた。
夕日に当たって光り輝くマンションに住みたいなって何度願っただろうか。