年下の彼氏
「孝之くんも歌えば?」

あたしはマイクを差し出すと孝之くんはそのマイクを押し返した。

「オレそーゆうタイプじゃないんで。」

グラタンを食べながらこっちを向く孝之くんはすねている子供のようだった。

よく思えば男の子とこんなふうに出掛けたりするのって初めて…。

急に考えたら顔が熱くなってきた。

そういえばカラオケBOXって狭くない?!

なんであたしはこんなとこに誘ってんのさ…!!



らしくない自分が分からない~!






ぐわーと思い苦しんでいるあたしは思考停止になった。





「あそこのバイトって楽しい?」

菜月を見兼ねた孝之くんが聞いてきた。


「あっあうん!楽しいよ!」


思考停止が解除されて口で喋れるようになった。



「本が好きなの?図書館でバイトするくらいだから。」



「ううん、ちょっといろいろあってあそこにしたの。本が好きって訳じゃないかも。どっちかっていうと文字見ると倒れる勢いだし、とりあえず男の人がいないとこが良かったからおばさんばっかの図書館にしたんだ!でも図書館の仕事もなかなか難しくてさ!あの本をピッてする機械?みたいなやつはまだ触らせてもらえなくてさ。今はあれを使わせてもらえるまで本の整理してるんだ。目標はあの機械を触ることだよっ。」



……。


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