年下の彼氏


あっと口を手で押さえた。

しゃ、喋り過ぎたー!

「ごめんっ。でしゃばった。」




赤い顔をしたあたしを見て孝之くんは、ぶはっと笑った。

あはははと髪を触りながら笑う、その人は涙目になりそう。



「菜月さんって面白いな!」


−菜月さん。

名前を呼ばれただけでドキドキする。

惚れっぽいあたしは男の人と前に進むことはなかった。

いつも追いかけてフラれて、追いかけてフラれて…その繰り返し。

もう慣れたけど。

いちいち泣かなかったし、もうどれが本当の恋なのか分からなかった。



でも見つけることができた。

本当の恋。

あたしの初めての恋。

ファーストキス。

切なくてでも嫌じゃないこの気持ち。

くすぐったくて心が締め付けられる。





カラオケから出ると外の空気が新鮮に感じた。



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