年下の彼氏
「でね、月の光がこう……。」

目が半開きのまま見つめているのは、あたしじゃなかった。

果てしなく広がる真っ青な空!空!空!



「あのー。聞いてる?桃子?」

桃子のおでこをペチンと叩いた。

「あたッ。」

やっとこっちを向いてくれた桃子は何だか顔がさえない。


「どうしたの?何かあった?」

1つの机に2つのお弁当箱。あたしのお弁当は空っぽで桃子のお弁当はまだ残っていた。

桃子は黙ったままだった。

「食欲ないの?お弁当残ってるよ?」

菜月は桃子のお弁当箱を指差した。
可愛い水玉の模様の黄色いお弁当箱。

「菜月にあげるよ。」

「やったぁ!」

菜月は両手で万歳した。

………。




「違うでしょ!桃子が食べるの!」

万歳の手を引っ込めた。

危ない危ない。人のお弁当まで食べるなんて何という食欲…。

ぶるっと身震いした。



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