年下の彼氏
「今日告りに行くから着いて来てね。」
桃子は、にこっと笑うとあたしの髪をくるくるしてまた笑った。
桃子が幸せなら菜月は嬉しかった。
今年の初詣での時にひいた大吉の力を桃子に全部あげたいと菜月は考えていた。
「菜月ちゃんっ。今日バイト入っちゃってさ。放課後の掃除当番かわってくれない?」
同じクラスの珠紀ちゃん。家計が苦しくてバイトに励んでるって噂。
「うーん、ごめんだけどあたしも先約あってさ。ごめん!」
「いいよ、後からきなよ。」
後ろからひょこっと桃子が現れた。
毛穴が見えない肌、くるっと巻かれた髪、のびる付けまつげやったんだな、ぷるんと潤う唇。
見ただけで察した。
桃子の本気モード。
「うん、なら珠紀ちゃん!あたしやっとくよ!バイト頑張ってね!」
「ありがとー。」
走り去っていく珠紀ちゃんを見送った後、本気モードの桃子は言った。
「今日駅前のサハラ砂漠モニュメントの前だから!絶対来てね!」
そう言うとそそくさと準備をして学校を早退した。
「………サハラ砂漠モニュメント……?」
菜月は大きな不安に包まれた…。