年下の彼氏

茶色とピンク色のレンガのマンション。
あたしの憧れのマンション。

マンションの玄関に堂々とあるその機械が透明なドアを孝之くんを認識して開く。

あたしはその後についていって同じようにドアを通る。

バイトが終わった後にはいつもこのマンションの前を通り、駅前に近いあたしの家に帰る。
夜も遅く真っ暗な帰り道で明かりを燈してくれるのはこのマンションの中の公園を照らすオレンジと黄色のライト。

孝之くんが寝転がっていた木の下近くだ。


「なんか菜月さんを殴ってから親父、人が変わったようにいいやつになってさ。菜月さんのおかげだよ。さんきゅな。」

「あ、いやそんなあたしは…。」


エレベーターに乗り込み、16階のボタンが光る。



知らなかった。
そんなに深刻な家庭環境だったなんて…。
あたしで何か役に立てたのかな。
だったらいいけど…。


チーン。

ドアが開く。




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