年下の彼氏
あたしのバイトは週3日で月水金と入っている。
5時入りの7時まで。
早い時だと6時で帰っていいよと言われる。
最近の子供は図書館には来ないみたい。
図書館は夏に向けてクーラーがもう付いていた。
涼しい風が子供達を包む。
ふと手に取ったあの本をめくってみた。
その最後のページには「笹本孝之」と記されていた。
まるで誰かに見つけてもらいたいと思う小さな子供のように、はっきりとした字でそう書かれていた。
○CRY RAIN○
幼なじみの切ないラブストーリー。
ペラペラとめくっているうちに外の景色が茜色に変わる。
あたし最近さぼってるなぁなんて考えながら。
「さぼりですかぁ?」
耳元で声がして、びくっと反応してしまった菜月。
また難しそうな本を持って眠そうな顔して立ってる。
「孝之くん…。」
熱い耳はクーラーの風では
冷えなかった。