MEMORY♡MELODY
「あー・・・、顧問のパシり的な?ちょっと各パート回ってるんですけど、居ないと思いますけど1年生居ます?ってか居てくれないと流石に困るんですけど・・・」
最後の方、少し本音がでてしまった気がする。まぁ・・・いいか。
ん?さっきの見かけない顔の女がこっちに寄ってくる。
もしかして1年か?と、そっと顔を近づけて聞くと顔を赤くして「そうです」と答えた。
そして涼太が俺にしか聞こえない声で言った。
「あっ、奇跡的に1人だけ来てるじゃん!良かったなー、顧問に怒られずに済んで。な、煉♪」
「うっせぇ。まぁ、居てくれてよかったけど・・・」
つか、練習ねぇのになんでいんだ?しかも楽器持ってるし・・・。
ま、俺にはカンケ-ないけど。
さっさと聞いて、練習しよ・・・。
「単刀直入に聞くけど、先輩から明後日のオーディションの事聞いた?」
聞いてくれてると、話が早くて嬉しいんだがな。
「今聞きました」
うわ、明後日の事なのに、この女しか聞いてねぇとか、後で説明すんのめんどくせ・・・。
ま、1人聞いてるだけましか。
「そっか。じゃあ話は早いな。当日の話するから、ちょっとこっち来てくれる?」
別にコンクールメンバーに聞かれてもいい話だけど、一応テストだし。黙っといた方がいいだろうって事で、廊下に連れ出した。
つーかこの1年・・・、この前部長達が可愛いとか言ってたやつか?
そんときは、本人見たことなかったからピンとこなかったけど、
背とかちっさいし、綺麗な薄茶色の髪だし・・・。なんかちょこまか動いてて、小動物みてぇだな…。
「守ってやりたくなる」
・・・正直言って、今までの女達と違うと思う。香水つけまくって、化粧濃い女達と違って、
小さくて、雪みたいに、すぐ消えてしまいそうな小さな存在。
それに、コイツが笑うと今までにない感情が込み上げてくる。なんだ・・・?これ・・・。