MEMORY♡MELODY

 いつの間にかぼーっとしていた俺に涼太が肘で小突いて、意識を戻させた。



 ナイス涼太・・・。



 ま、その内この感情の事とかわかるだろ。




 連れ出して、扉を閉める前、パートリーダーの河野先輩が笑顔で叫んだ。



 「守宮君、斎藤君!!話が終わったらフルートのお姫様、ちゃんと返してねー!」





 姫・・・か。パートの中でこんな風に言われてんのか。本人、すげぇ顔赤いんだけど・・・。

 
 可愛い・・・。


 
 可愛い・・・?!
 初めて俺が女に対して思った言葉。

 今まで可愛いなんて一度も思った事はなかったし、こんな気持ちになることも無かった。



 つか今は予定、話してやんねぇと!明後日なんて、すぐ来ちまうからな。




 なるべく簡潔に、手早く説明する俺の横で、涼太は意味有り気に笑っていた。




 「・・・って、事なんだけど分かった?」

 
 すっごい省いて話したんだけど・・・。これでわかったらこいつすげぇな・・・。



 「わかりました^^当日は楽器を持って準備室前で待っっておけばいいんですね。わざわざありがとうございました!!」




 お?こいつ・・・さっきの話、分かったのか。わかったんなら別にいいんだけど。


 つーか、その笑顔・・・普通の男が観たら絶対一発でKOされてんな。

 普段、女と喋ってても、照れない涼太までもがその顔に照れた。
 俺も人のこと言えないんだけどな。
 あんま認めたくねぇけど・・・。



  


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