リリック・ラック
「泣きそうになる?」
何故分かるんだろう。
麗ちゃんはあたしの思ってることをズバリと当ててくる。
コクコクと頷くと、麗ちゃんは乗せていた手であたしの髪をわしわしと乱暴に乱した。
「何よぉ!!」
「泣いちゃえば?」
しれっと麗ちゃんはあたしに言うけど。
あたしは首を振ってイヤイヤをした。
「なんでだよ。もともとブスなんだから泣いたってそんな変わんねぇよ」
相変わらずお口が悪くいらっしゃる。
だけど麗ちゃんなりにあたしを慰めようとしてくれてるんだって、分かる。
麗ちゃんがあたしの腕をきゅっと引っ張ると、チビのあたしは麗ちゃんの胸にすっぽり収まった。
「はい、どーぞ」
ポン、と麗ちゃんがあたしの背中を軽く叩くと、魔法にかかったみたいにあたしは泣いた。
麗ちゃんは片腕をあたしの背中に回したまま、ずっと支えてくれていた。