リリック・ラック
うずまき模様な胸の中
・選択肢
ひとしきり泣いて、しだいに落ち着いてくると、同時に気持ちも落ち着いていく。
あんなにモヤモヤしていた頭の中も妙にクリアになっていた。
「麗ちゃん、ごめん」
「ん、落ち着いたか?」
あたしは支えてくれていた麗ちゃんの腕をほどき、こくりと頷いた。
なんだかとても気恥ずかしいけど、スッキリしてる。
「何があったかなんて詳しく聞かねぇけど、若狭と沙綾のことだろ?」
あたしはまた小さく頷いた。
すると麗ちゃんは聞こえるか聞こえないか、小さなため息をはく。
「あのさ」
「うん」
麗ちゃんの言葉を待って、あたしは麗ちゃんの顔を見上げた。
わずかに頬が赤らんで見えるのは、アスファルトに反射した夏の日差しのせいだろうか。