リリック・ラック


「ま、そういう選択肢もあるってこと」


そう言うと麗ちゃんはポンとあたしの頭を軽く叩いて、駅の方へと歩いて行く。

行き交う人の波の中に、麗ちゃんが消える。

頭が、ついてかない。

あたしが好き、なのは恵で。
恵は沙綾を好きで。
沙綾も、きっともう恵を好きで。

麗ちゃんは。
麗ちゃんの、気持ちは?

付き合えばいいって言うなんて。
麗ちゃんはあたしを、好きなのかな。

ううん、そんな訳ない。
麗ちゃんに好かれるようなことした覚えがないもん。


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