リリック・ラック
どんなに気が重くったって、朝ははまたやって来る訳で。
気持ちは晴れなくとも、身体は恨めしいほど元気なあたし。
休むわけにもいかず、憂鬱な気持ちのまま登校した。
沙綾とは一言も口を聞かないまま、午前の授業があっさりと過ぎて。
時折沙綾の視線を感じたりもしたけれど、わざと気付かないフリをした。
「ポチ、飯食いに行こうぜ」
そう声をかけてくれたのは麗ちゃんだった。
「あ、うん。……あ、でも沙綾とワカメは?」
最近は四人で食べるのが当たり前になっていた。
急に誘わなくなるなんて、あからさま過ぎないかな。
「若狭に、沙綾と食って来いって言っといた。デートの打ち合わせでもしやがれってな」
麗ちゃんの言葉に、ちらりと沙綾の席の方を見遣ると。
なるほど、ワカメが何か楽しそうに話している。