リリック・ラック
学食に向かって隣を歩く麗ちゃんをちらりと見上げる。
もしかしてまた、気を使ってくれたのかな。
週末、あたしが一人で沈んじゃわないように。
「どう?」
不意に麗ちゃんもこちらに視線を落とし、パッと目が合う。
麗ちゃんがほとんど分からないくらい、わずかに微笑んであたしを見てる。
あたしはにっこりと笑い返し、頷いた。
「行く。楽しみ!」
そう答えると麗ちゃんは少しまた笑みを深めた。
今は甘えてしまおう。
沙綾と恵のことや、あたし自身の気持ちに整理がつくまでは。
ただやっぱり、昨日の麗ちゃんの申し出については、受け入れることはできないけれど。