リリック・ラック
日曜はお昼過ぎに麗ちゃんと駅で待ち合わせた。
ライブは夕方からなんだけど、せっかくだからその時間まで街で遊ぶことにした。
あたしは約束の時間より少し早く到着。
この駅であたしは2回もみっともなく泣いてしまった。
思い出して、少し気恥ずかしさを覚える。
そろそろかな、と左腕にはめている赤の腕時計に目をやると、ポンと頭を小突かれた。
顔を上げると、太陽の光をチラチラと反射させる銀色。
「早いな、ポチ」
「麗ちゃんこそ。意外と早めに待ち合わせ場所に来るタイプなんだね」
意外そうに麗ちゃんが言うから、あたしもからかうようにそう言った。
麗ちゃんはもう一度あたしの頭を小突いた。