リリック・ラック

ライブハウスは人と大音量の音楽で溢れていた。

全体に暗くて、沢山の人の群れの無効に、幾つものライトを集めて光るステージが見えた。


しばらくは後ろの方でドリンクを飲みながらステージを眺めていた。

あたし達が入場してから2組目のバンドが演奏を終えた頃、おもむろに麗ちゃんが立ち上がる。


「次だ。行くぞ」


おそらく次が麗ちゃんの友達が出るというバンドの出番なんだろう。


だけど行くってどこに?


そう思ったのもつかの間。
麗ちゃんはあたしの手を掴み、強引に引っ張ってステージの方へと歩き出した。


「前行くの?」

「そう」


周りの音に掻き消されないように普段よりも大きな声で会話する。

< 117 / 142 >

この作品をシェア

pagetop