リリック・ラック

ワカメはあたしが座っているブランコの隣に座った。

あたしの時よりも少し大きな音を出して、鉄の鎖が軋む。


「で、どうすんの?」


出来るだけ声のトーンが軽くなるように注意して、あたしは切り出した。


「どうするったってなぁ……。諦めたりはしねぇけど」


諦めろとも、頑張れとも言えないあたし。


ワカメが膝にひじをついて前屈みになる。

モスグリーンの髪が垂れて横顔を覆うから、あたしからはワカメの表情は見えない。


「沙綾の大事な人って、誰なわけ?」


ちらりと、ウェーブのかかった前髪の隙間から目元が覗く。

あたしは真っ直ぐにその目を見つめた。


「それを知ってどうするの?」

「どうって」

「ワカメの気持ちは変わるわけ?」
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