リリック・ラック
「遠慮なんかされたくない。あたしたちは、親友なんだから」
張り詰めた糸が切れてしまったみたいに、沙綾はハラハラと泣き出した。
あたしも目の奥がじわんとしみたけど、ぐっと堪えた。
「ごめん、柚。ごめんなさい……」
あたしはもういいよ、という意味を込めて首をフルフルと振る。
「ちゃんと、学校来なきゃダメだからね?」
あたしは小さな子供に諭すみたいに言う。
沙綾はコクコクと何度も頷いた。
「だけどね、柚。嫌じゃない?私が若狭君を好きなままで居て……」
嗚咽を交えて投げ掛けられた問いに、あたしは少し黙ってしまう。
このまま沙綾がワカメへの気持ちを諦めなければ。
きっと二人はそれほど時間をかけずに付き合い始めるだろう。
正直あまり見たくない。
だけど。