リリック・ラック

『あたしはゆず! 一緒に遊ばない?』


沙綾はまたビックリしたような顔をしたけど、怖ず怖ずと門を開けてくれた。

あたしが庭に入ると、リリーという名の綺麗なゴールデンレトリバーが尻尾を振って迎えてくれた。


『あなたのこと、好きみたい』


ぽそっとそう言って笑う沙綾。

遠慮がちに笑う沙綾に、あたしは嬉しくて笑い返す。

その日からあたしはたびたび沙綾とリリーに会いに行った。

しばらくして沙綾のご両親にも会ったんだけど。

二人共、あたしみたいな小汚い少女が沙綾と遊ぶことを、嫌がるどころか凄く喜んでくれた。
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