リリック・ラック
イントロが流れ出すと、あたしは沙綾にマイクを渡した。
「へえ〜、洋楽か」
感心したように恵が呟く。
マイクを受け取った沙綾は、少し躊躇いながらも歌い始める。
「……マジで?」
沙綾の歌に唖然とする恵と麗ちゃん。
沙綾はよくおば様の趣味のオペラに付き合っているから、発声は抜群。
しかもバイリンガルだから、発音も完璧。
この歌声が好きで、あたしはよく沙綾をカラオケに誘うんだ。
「なに、この子。凄いね」
あたしの隣に居る麗ちゃんがあたしに耳打ちする。
「でしょ?」
沙綾を褒められて、あたしは自分のことみたいにハッピーな気持ちになった。