リリック・ラック
ふと気付けば、沙綾とワカメも少しずつ打ち解けているようだった。
たいていの女の子には凄く馴れ馴れしい恵だけど、空気は読める奴だから。
沙綾が不快にならないように、適度な距離をとって接している。
ふうん。
それなりに紳士的な態度と、飽きさせない会話。
そんなワカメに沙綾は笑顔さえ見せていた。
……やるじゃん。
「ポチ、これは知ってる?」
麗ちゃんに声をかけられて、ハッとして麗ちゃんに向き直る。
「え、どれ?」
「これ。分かる?」
麗ちゃんは例のバンドの新曲を指差している。