リリック・ラック

「ぎゃっ! ちょっと、苦しいってば!」

「俺様のオシャレなヘアスタイルを馬鹿にするからだろ」

「なによ、ワカメワカメワカメ!」


ぎゃいぎゃいと騒ぐあたし達を、他の生徒達がクスクス笑いながら通り過ぎていく。


「若狭、何やってんだ?」


背後から声をかけられて、恵とあたしは同時に振り向く。

真っ先にあたしの視線が捕らえたのは、きらっきらの銀色。


「おう、澤村」

「誰? ワカメの友達?」


ワカメの仲間って言うと自然界なら昆布とかかな。なんて下らないことを考えていると。

澤村と呼ばれた銀色ヘアーの彼は、怪訝な目をあたしに向けた。


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