リリック・ラック
家の前まで送ってくれたワカメに手を振り、あたしは自室に直行する。
スクールバッグをどさっとベッドの脇に投げると、小さくため息が出た。
なんだろう。
この言いようのない、不安感。
なんだか置いてきぼりをくらったような気持ちで、胸がそわそわしていた。
ワカメが彼女を作るのは何度も見てきたこと。
それでもあたしとは相変わらず一緒に馬鹿をやっていたし、態度を変えたりしなかった。
だけど本当に好きな人ができたら。
……きっとあたしをのけ者にするんだろうな。