リリック・ラック

「担任命令だ」と言うまっちゃんの言葉に、あたしはしぶしぶ前に出る。


「じゃあみんな、立候補か推薦どっちでも良いからバンバン手上げちゃって」


あたしがそう呼びかけると、みんなチラチラと周りの様子を伺い始める。


「ポチやれよー。適役だろ」


声を上げたのはあのワカメちゃん。
ニヤニヤしながらこっちを見てる。

あいつめー!!


「ヤダよ。あんたがやれば良いじゃん、ワカメ!」

「俺は無理。海藻も色々大変なわけよ」

「あんたなんか津波で流されてしまえ!」


あたし達のやり取りに教室から笑いが起きる。

「いいぞポチー」なんて声援も起こるけど、このままじゃ進まない。
< 38 / 142 >

この作品をシェア

pagetop