リリック・ラック

あたしはバアンと教卓を叩いた。

恵を初め、教室がしんと静まる。


「分かったから。あたしが一枠引き受けるから、あんたも一つやりなさいよ」

「だから、俺は嫌だって」

「あたしが折れてんだからあんたも折れろ、馬鹿!」


あたし達の口論が再燃しそうになったその時。

しなやかな白い腕がスッと上がった。


「あの……私、学級委員やります」


控えめながらそう立候補してくれたのは沙綾だった。


「沙綾! 良いの!?」


さすがあたしの親友!

今は沙綾が天使に見える。
ううん、沙綾はいつだって天使なんだけど。
< 39 / 142 >

この作品をシェア

pagetop