リリック・ラック

みんなの視線が集まって、沙綾は少しオドオドする。


「柚がやるなら、私もやってみたいな……」

「沙綾! 愛してる!」


あたしは沙綾のもとに駆け寄り、全力の抱擁を浴びせた。


「おいポチ、もう一人の学級委員は俺がやる」


そう主張してきたのは恵だ。
沙綾がやるって分かったらコロッと態度変えちゃって。

なんだかムッとしたけど、役員が決まらないよりマシ。

恵を任命しようとしたその時、教室中からバババッと手が上がった。


「俺が!」
「僕が!」
「いや、俺が!」


男子共め。

みんな沙綾と近づきたいという下心がありありと見える。

調子良いんだから、まったく。
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