リリック・ラック

「お前ら黙れ! 先着順だ! ねぇ、沙綾ちゃん」


恵が周りの男子を制し、沙綾に向き直る。


「え、あ、うん」


急に話題を振られた沙綾は、勢いに負けて頷いてしまう。

その瞬間、勝ち誇った笑みを浮かべてガッツポーズの恵。

対照に周囲の男子は一気にうなだれた。


「沙綾ってば、男を翻弄するタイプなのね……」

「え、なあに?」


あたしに向けられた天使のように輝く笑顔に、あたしはこっそりため息をついた。

まぁ、これで学級委員二人と体育委員一人が決まった。

残るはもう一人の体育委員だけど……。
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