リリック・ラック
ぐるりと教室を見渡すあたしの視線が、一カ所で止まる。
ぶつかった視線の先に居た目が、「しまった」と言わんばかりに逸らされる。
「麗ちゃーん? 目逸らしたって駄目だよ。体育委員に推薦します」
あたしがにっこりとそう言うと、まるで地獄の果てまで届きそうな深いため息をついた。
そんな麗ちゃんはお構いなしに、あたしは黒板に四人の名前を記す。
「まっちゃん、決まったよ」
「おう、ご苦労さん」
役員決めをあたしに押し付けてうたた寝していたまっちゃんが、伸びをしながら黒板を眺める。
「これはまた、癖のあるメンツで揃えたな」
あたしはにんまりと満足げに笑った。