リリック・ラック
「沙綾、昨日の数学のノート見せてくんない?」
「うん、いいよ」
最初は距離があった沙綾と麗ちゃんも、ほぼ毎日一緒に居るおかげでだいぶ馴染んだ。
男の子が苦手な沙綾も、麗ちゃんや恵とはもう普通に接することができるみたい。
「あっ、若狭君。今日の放課後残るようにって、松本先生が言ってたよ」
「マジで? 分かった、さんきゅー」
学級委員の仕事は、沙綾がしっかりとリードしているらしい。
それにすっかり従っちゃってる恵を見るのを、あたしと麗ちゃんは楽しんでいる。
「麗ちゃん、あたし達も今日集まりがあるよ」
「分かってるって」
麗ちゃんはあたしの髪をくしゃくしゃと撫でた。