リリック・ラック
開会式を終えると、早々にバスケの試合が始まる。
あたし達がプレーするコートの隣では男子がプレーする。
偶然あたしも恵も、第一試合からの出場だった。
あたしが恵に目配せで宣戦布告すると、恵もニヤリと返してきた。
試合開始の合図と共にあたしは走り出した。
素早く回されるボールを確認し、あたしはゴール下に先回りする。
「ポチ!」
「任せて!」
絶妙のタイミングで送られてきたボールを、あたしはリングにくぐらせた。
「ナイッシュー」
惚れ惚れするくらいキレイに決まった。
あたし、天才かもしれない。
チームメイトとハイタッチを交わす背後で、歓声が起きた。