リリック・ラック

その後、女子バスケはあたし達が優勝を勝ち取った。

男子バスケはというと、体格の良い3年生達がやっぱり強くて、恵達は4位だった。

恵は悔しそうにしてたけど、あたしは恵達もよく頑張ったと思う。

だけど賭けの内容を「最終結果が上位に入った方が勝ち」にすればよかったと、こっそり思った。


「ちくしょー、悔しいな」

「でも若狭君カッコ良かったよ」

「……ほんとに?」


汗をかいても爽やかな沙綾がフォローを入れる。

するとグチグチ言ってた恵は一変して、ほわんと頬を赤くした。


「本当よ。豪快なプレーで、見とれちゃったもの」


照れたのか言葉が出ない恵。

沙綾は時として天然小悪魔と化すみたい……。
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