リリック・ラック
・距離
保健室を出て、グラウンドの隅に腰掛ける麗ちゃんとあたし。
「空気の読めない奴だな」
照り付ける陽射しに、鬱陶しそうに眉をしかめる麗ちゃん。
「……悪かったわね」
麗ちゃんはあの場で恵を残すことがベターだと判断した。
それってつまり。
「恵は、沙綾が好きなわけ?」
あたしは出来るだけ何てことのないよに、努めてさらりと聞いた。
すると麗ちゃんは、怪訝な目をあたしに向ける。
「今更だろ?」
「……本気で?」
「ありゃあ、どう見たって本気だろ」
麗ちゃんが一つ返答する度に、あたしの視界は小さく暗くなっていった。