リリック・ラック
「麗ちゃん」
「ん?」
あたしはニッと笑って、努めて明るく言う。
「リレー、優勝しようね」
麗ちゃんはけだるそうに「そうだな」って答えた。
くわーっと大きな欠伸をする。
「もう、麗ちゃん!しっかりやってよね!」
あたしは立ち上がり、麗ちゃんの髪をぐしゃぐしゃと掻いてやった。
柔らかな銀色の髪の隙間から、ギロリと睨まれる。
走って、振り切ればいい。
渦巻いたモヤモヤした気持ちとか、あたしの中の小さな塊を。
走って、振り切ってしまえばいい。
そうしたらきっともっと、自然にまた笑えるから。