リリック・ラック
普段の怠そうな姿からは想像もできないほど、麗ちゃんは足が速かった。
表情は一つも変えずにスイスイ走り抜ける麗ちゃんに、クラスの女子から黄色い声が上がっていた。
リレーは見事あたし達のクラスが一位。
麗ちゃんの活躍が大きかった。
「やるじゃん、麗ちゃん!」
ばーんと背中を叩くと、麗ちゃんは眉をしかめてあたしを睨む。
「ポチはおせぇな。犬のくせに」
「なんだとー!?」
あたしだって一人抜いたのに。
プリプリとむくれるあたしに、麗ちゃんは少し笑った。