リリック・ラック

体育祭も終了して、それぞれのクラスが分担して片付けも終えた頃。


「沙綾たち、迎えに行かなくちゃね」


閉会式にも戻らなかった二人を、あたしと麗ちゃんは迎えに行くことにした。


「沙綾の具合良くなってると良いけど」


そんなことを言い合いながら、あたし達は保健室に向かう。


保健室の扉を開き、沙綾の居た奥側のベッドに目をやる。


「あれ? 先生、城崎さんは?」


デスクで書類に目を通していた保健医の先生に聞く。

先生は、ああ、と呟いてこちらを見た。


「帰ったわよ。付き添ってた男の子が送って行ったみたい」
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