リリック・ラック
夕暮れのくすんだオレンジ色が保健室のベッドに滲む。
ついさっきまで賑わっていたグラウンドが、窓の向こうで寂しげに広がる。
「そか。麗ちゃん、あたし達も帰ろっか」
あたしは麗ちゃんを見上げながらそう笑いかけた。
胸がきゅっと痛んだことには、気付かないフリをして。
「気をつけて帰りなさいね」
「はーい。さようなら」
保健室を出て、生徒達の居なくなった静かな廊下を歩く。
「ワカメもさぁ、帰るんなら声かけりゃ良いのにねー」
「俺らグラウンドに居たんだし、しゃあねぇだろ」
「だねー、あははー」