リリック・ラック

麗ちゃんが手を乗せていた。
背の低いあたしを、麗ちゃんは見下ろす。


「お前、若狭のこと……」

「違う!!」


あたしの頭に乗っていた手を振り払い、あたしは麗ちゃんの言葉を遮った。


「違わないだろ」

「違うもん……」


その言葉を言ってしまったら、認めてしまうことになる。

ずっと気づかないふりをしていた気持ち。


「そんな感情有るわけない。有ったとしても、無駄なだけ」


認めた途端に諦めるしかない感情なんて。


「なら、言わないで消してしまった方がいい」


胸の中に隠して、そのまま錆びついて朽ちてしまうまで。


「ただあたしは、皆と居たいだけ……」


麗ちゃんは、あたしの髪をそっと撫でた。
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