リリック・ラック
「沙綾ー」
麗ちゃんは、自分の席で真面目に予習をしていた沙綾を呼んだ。
「なぁに?」
「課題見せてー」
沙綾はにっこり微笑んで頷き、汚れ一つない綺麗なノートを差し出した。
麗ちゃんはそのノートを開き、せっせと書き写し始める。
「必死だねぇ」
「今日当たるんだよ」
ちなみにあたしはもう完全に諦めてしまっているので、課題は写さない。
麗ちゃんが必死に課題を写す姿を、余裕たっぷりに眺める。
ふと、沙綾の手首に目が止まる。
「その腕時計カワイイ」
チラチラと細かい光を反射させる、ピンクゴールドの腕時計。
上品なデザインが、沙綾にとても似合っている。