リリック・ラック
「ごめん。えと、柚にも、貸してあげる」
「うん。ありがとう」
沙綾がそう言い直したのを聞いて、あたしは満足げに右手を下げた。
ちょうどその時麗ちゃんがノートを写し終え、沙綾はノートを受け取ると自分の席に戻って行った。
席に戻る沙綾を見送って、麗ちゃんがあたしに聞く。
「さっきの、何?」
ノートを写しながらも、あたし達のやり取りを聞いていたらしい。
実はね、とあたしはさっきの沙綾とのやり取りについて説明する。