リリック・ラック
「贈り物にはね、くれた人の気持ちも入ってるんだよ」
真っすぐに向き合う沙綾の瞳はぱっちりと見開かれていた。
「それに沙綾だってこのぬいぐるみ、気に入ったんでしょ? 本当に大事な物は、簡単にあげちゃダメ」
沙綾は少しの間固まっていたけど、しばらくしてこくんと頷いた。
あたしはなんだか安心して、沙綾に笑いかける。
「今度、そのぬいぐるみで一緒に遊ぼうね」
あたしがそう言うと沙綾はまたこくんと頷いた。
今度は満面の笑みを浮かべて。
そのやり取りを見ていた沙綾ママは、あたしにこっそりと「ありがとう」と言った。