リリック・ラック
「柚、おはよう」
「沙綾!」
胸元まで真っ直ぐに伸びた黒髪が今日も綺麗。
優しげに少し垂れた瞳があたしに笑いかけると、あたしの頬も自然と緩む。
「また同じクラスで良かったね」
「うん。柚が居ないと不安だもの」
幼なじみの沙綾は中学校まで私立の女子校に通っていた。
だけどお嬢様育ちの沙綾に社会勉強をさせたいというおじさんの願いから、高校は公立に通うことになった。
知らない人ばかりの学校は不安だからって、沙綾はあたしと同じ高校を受験した。
育ちは違うけど、沙綾は優しくって可愛らしくって、あたしは大好き。