リリック・ラック

大切な親友の初めての恋を応援できないなんて、あたしは最低だ。

だけどどうしても出来なかった。

胸の奥がざわざわして、気分が悪くなる。


その後のことはよく覚えていない。

あたしの微妙な変化を察したらしい沙綾は「大丈夫?」って何度も聞いてきた気がする。

あたしは緩く笑って「うん」って、適当に答えてた。


沙綾ママと外で食事をするという沙綾に、一緒にどうかと誘われたけれど。

あたしは首を横に振って、夕方には駅前で別れた。


一人になった途端、沸き上がってくる色んな感情を抱えきれず、あたしはその場に座り込む。
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