リリック・ラック

あたしはただ苦しい気持ちの中で、もがくことしかできない。

そんな投げやりなあたしの頬っぺたを、麗ちゃんは思い切り引っ張った。


「!? 痛い!!」

「どうしようとお前の勝手。何もしないならしないで良い」


そう言うと麗ちゃんは引っ張っていた右手をぱっと離す。


「だけどしんどいだの苦しいだの、ウジウジ言うくらいなら何とかしろ。何でも良いから、何かしろ」

「麗ちゃん……」


麗ちゃんは優しくない。
あたしの弱音をこれ以上聞いてくれる気はないみたいだし、慰めてもくれない。

だけど冷たい訳じゃない。

決してあたしを見離したりはしないから。
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