リリック･ラック

とっても複雑な気分。

邪魔をしたい訳じゃないけど、応援する気も起こらない。

二人の動向を遠くで見ながら、あたしはあたしの気持ちを整理するしかないのかもしれない。

そう思ったのもつかの間。
沙綾はあたしにとんでもない提案をしてきた。


｢柚、着いて来てくれない……？｣

｢……へ？｣


耳を疑うって、本当にあるんだ。

だけどゆっくりと反芻して、沙綾の言葉の意味を理解する。

意味を理解したら、次は沙綾を疑うことになった。


｢なにそれ？ 本気？｣


無意識にトゲのある言い方になってしまっていたのかもしれない。

沙綾は少し気まずそうな顔になった。