重力地獄の決闘
「被害は?」

 クルーガーの中で、ロックウェルが口を開いた。

 ビームキャンセラーを全面に張り熱塊の直撃は免れていた。

「主砲は電子炎の逆流で機能停止、動力ジェネレーターも出力が40%までしか上がりません。センサーの大半も応答がありません」

「くっ」

 そして、更に、オペレーターが告げた。

「隊長、作戦効果リミットです」

 ロックウェルは、窪地から這い上がってきたプロテクタースーツのマックを睨みつつ、その報告を聞いた。

 ぎりぎりと奥歯を噛みしめ、まだ生きているレーザーシステムのトリガーに手をかけた。

 今なら、高出力パルスレーザーで奴を仕留められるかも知れない。だが、避けられたら最後、こちらが危ない。ビームキャンセラーを維持するには動力ジェネレーターの出力が足りない。

 どうする、ロックウェル、この機会は倒す機会なのか逃げる機会なのか……

 数瞬の迷いの後、ロックウェルはトリガーから手を放し、命令した。
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