重力地獄の決闘
「帰投する。煙幕を張りつつ旋回。戦域を離脱だ」

「了解」

「次はこうはいかんぞ、〈何でも屋〉!」

 マックが窪地から這い上がり、対峙したと同時に、クルーガーの周囲から黒い煙幕が吹き出した。

 マックは不意打ちに備えて、アームプロテクターを構える。

 だが、クルーガーの駆動音がやがて遠ざかり、それと同時に、煙幕が晴れる。

 そして、その向こう、遥か先に砂塵を上げて去っていくクルーガーの車影が見えた。

「ふう、退却したか。こっちも弾切れでどうしようかと思ってたところだぜ」

 KV・320のエネルギーカートリッジは全て使い切っていた。

 マックも既に限界だった。いくらZEROで緩和されてるとは言え、2度も爆発で吹き飛ばされたのだ。身体中が軋み、悲鳴を上げている。
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